これからお店をはじめる人に知ってもらいたい、お客様との境界線

どの世界でもあるよね、新参者への洗礼って。
いよいよ自分のお店のオープンが間近に迫ってきてる人も、これからお店作りをはじめる人にも知ってもらいたい事。
それは、お客様との境界線。
「え?何それ?そんな、私はお客様と一線を越えるつもりはありませんよ・・・」って、思った人もいるかもしれませんが、今回の記事はそうじゃない。
「お客様」と「お客様じゃない人」の境界線を引くための記事です。
私は未経験からの開業だったため、オープン当初は右も左も分からなかったので、とにかく来てくれたお客様に一生懸命対応してきました。
それ自体は決して悪い事ではないのですが、後々トラブルになったり、家族を苦しめたり、今思うと時間の無駄だったと思える接客がいくつかありました。
そして、そういう原因を作ったのも、無知だった私が原因だったのです。
これからお店をオープンする人にこそ知っておいてもらいたい、お客様とそうでない人の見極め方を書いておきますので、参考にしていただければ幸いです。
新規開業店には、「お客様」と「じゃない方の人」が来る

初っ端から、ショッキングな見出しでごめんなさい。
長くお店をやってると、お店には「お客様」と「(お客様)じゃない方の人」の2種類の人がやって来ることが分かりました。
もちろんお客様というのは、来店して注文してお金を払ってくれる人のことで、お客様が来てくれるからこそ、お店は営業を続けていくことができ、カフェオーナーの生活費やスタッフの給与などが賄えるわけです。
けれど、中にはお客様じゃない人が紛れてくる事があります。
お客様じゃない人とは、具体的にこんな人達を言います。
- 無礼な人
- お金を払う方が偉いと思ってる人
- お金を払わない人
- 時間を守らない人
とまあ、こんな種類の方々です。
恐らく、これを見ただけでは、自分はそんな人達来ても相手にしないから大丈夫だと思ってる人も多いでしょう。
私も全く想定してませんでしたし、自分はそんな人達が来てもすぐに対応できるから大丈夫と思ってました。
しかし、新規開業店は、上に書いたような人達が目を光らせて舌なめずりして待っています。(怖っ)
そんな人たちに臆することなく戦えるよう、装備を授けますので、どうぞお使いください。
ご武運を祈ってます。
オープンしたばかりで変な口コミを広げたくないと我慢した結果、YESだと勘違いした「じゃない方の人」

オープン当初って、なんだかお客様より立場が弱く感じてしまうんです。
実際は、お客様もお店側も対等なはずなのに、ついつい「開店して間もないのに、わざわざ来てくれた」とか、せっかくオープンしたお店なんだから、変な口コミを書かれてイメージダウンされたくないとか、この店はこんな冗談も通じないのかって思われたくないとか、色んな感情があって、何故だか開店して間もない時って、勝手に立場を弱く考えてしまう事が多いです。
確かに、オープンして間もないお店にとって、「来てくれたお客様はできる限りリピートして来てもらいたい」って、思いますよね。
でも、だからと言って店側は立場が弱いわけではないんです。
じゃない方の人達は、「お金を払ってるんだから、自分の方が立場が上だ」って思ってる人が多いです。
そして、そういう人は、お店に対して無礼な発言や行動を取ってきます。
具体的には、スタッフに対してのセクハラ発言、身体的な特徴を罵るような発言、無理な注文、他のお客様にからむなどの迷惑行為など。
実際に私のお店でも、コーヒーを運んだ女性スタッフに触る人もいたし、私に対して「肌が黒い、どこの国から来た?」などと笑い者にするような発言や、一緒に働く妻に対して「あなた太ってるね」と平然と言ったり、コーヒーが冷めたからもう一回淹れなおしてと言われたり(もちろん再度お金払う気は無し)。
思い出しただけでも、やべえ行動や発言の「じゃない方の人」。
NOを言えるオーナーであれ

私は、開業当初はこういう人たちに対して、お店の評判を下げたくない一心で、はっきりと直接NOを言えずにいました。
セクハラされそうになったら、次からは私が運ぶ、自分に対しての誹謗中傷は聞こえないふりをする、妻や家族の悪口を言われたら即座に話題を変える、無理な注文は「申し訳ございません、そのような対応は致しておりません」となぜか謝るなど、その場しのぎの対応した結果、自分が苦しんだり、家族が悲しんだり、スタッフが悩んだりと、誰も救う事ができずにいました。
大切なのは、家族とスタッフとお客様であって、じゃない方の人にまで気を遣う必要はないんです。
こういう、じゃない方の人には、はっきりとNoを伝えましょう。
「スタッフに対しての無礼な発言はやめてください」
「そのような発言をする方には、次回以降ご入店をお断りいたします」
また、変な噂を流されないか心配してるのなら、じゃない方の人に変な噂を流されても、どうってことないって思いましょう。
じゃない方の人を相手にしてる時間をなくして、その分の時間をお客様に費やしましょう。
そっちの方が余程、生産性があります。
クチコミサイトに変な事を書かれる事を恐れて、我慢していてはいけません。
NOを言うことは、自分を守るだけではなく、自分のお店も大切なお客様も守る鋼の鎧です。
自分の店のルールブックは、自分自身です。
じゃない方の人は、NOを言わない=YESだと勘違いしてしまいます。
お店を守るため、他のお客様を守るためにも毅然とした態度で臨みましょう。
親しい友人や身内が来た時は、特別扱いしてあげたくなるけど

はじめてのお店をオープンすると、色んな人が来てくれます。
仲の良い友人や同級生、親や兄妹など身内も来てくれるかもしれません。
そういう、近い存在の人達の来店ってすごく嬉しくなって、つい特別扱いをしてあげたくなりますよね。
もしくは、親や兄妹など身内が来た時にお金をもらうべきか悩んだり。
そういう場合も、必ず他のお客様と同じく正規の金額をいただくようにしましょう。
代金は、食事やサービス・環境を提供した対価として受け取るものです。
「この人からは、お金をもらうけど、この人は無料でいい」なんて事をしていると、きっと他のお客様からは「適当なお店」とか「オーナーの気分次第で価値が変わる店」というイメージを持たれてしまうことも。
私も実際、オープンして数回の間、コーヒーを無料で提供した身内がいました。
「身内だし、まあいっか」と思っていたのですが、その相手は次第にそれが当たり前だと勘違いしてしまい、財布も持たずに来るようになりました。
はじめのうちにお金をもらわなかったので、今更「コーヒー代を払って」なんて言い辛くなってしまいました。
他のお客様と同じサービスを提供するのに、なぜお金をもらう事をためらったのかと後悔しました。
特別扱いの「値引き・無料」はダメ、ゼッタイ。

妻や子供など、生計を共にしている家族は別だが、親しい友人でも親でも兄妹でもお店に来た人には、きちんと代金は請求すべきです。
これを怠ると、私のようにモヤモヤした日々を過ごすことになりかねません。笑
後から感じた事ですが、私の身内のような人(お金を払う気がないのに来る人)は、無料(または安くしてくれる)から来るのであって、正規の料金を請求すると一切来なくなりました。
これって果たして、苦労してやっと開業したあなたのお店の事を考えてる人の行動でしょうか?
こういう人達は、前述したお金を払って偉そうにする「じゃない方の人」よりも更に手強い、正規のお金を払う気もないのにお客様扱いを要求する、「お客様じゃない方の人」です。(怖っ!)
こういう人に対してというか、こういう人を作らないためにも、開業から一貫して誰に対しても価格面では一切特別扱いしない事が大切です。
どうしても感謝の気持ちや、いつもお世話になってるお返しをしたい場合は、ドリンクのサイズをワンサイズアップしてあげる、フードのボリュームを少し増やしてあげるなど、サービスで特別扱いするのがいいかもしれません。
また、本来であればプライベートのお付き合いは、プライベートの時にお返ししてあげるのがベストですね。
親しい友人には、次回プライベートで会う時に「この前は来てくれてありがとう」と一言添えるだけでよかったんだなと今になって思います。
代金請求という当たり前の行動は、伝説の剣のように、どんな強い相手も倒すことができます。
つい、いいかっこをしようと見栄を張ってしまった、私の強欲から招いてしまった、招かざる客。
これから開業する人は、十分にお気をつけください。
閉店時間を徹底すべし

お店をオープンして間もない頃、営業時間も手探りの状態でした。
売上のためにも、もっと遅くまであけとくべきか、このエリアは遅くまで営業しても人は来ないのか。
開業して以来、計画や予想と違う事が多々あり、全てが手探り状態。
そんな中、閉店30分前に来店した男性。
「まだ大丈夫ですか?」と聞かれて、一応「〇時閉店になりますけど、よろしいですか?」と確認するも、まあ今日は売上があまりよくなかったから少しくらい時間過ぎても売上が上がるならまあいいか。
と思って招き入れたのですが、ここからが長かった。
カウンターに座るや、コーヒーを1杯注文して延々としゃべりかけられ続ける。
それは閉店時間をとっくに過ぎても、止まらなかった。
この時も、変な言いがかりや悪いクチコミをされたくなかったので、なかなか話を切ることができずに、「閉店なので」が言えませんでした。
結局その後、2時間半ほど滞在。(閉店時間2時間越え)
注文はコーヒー1杯なので、時給に換算すると200円台。
それからも、度々閉店間際に来るので、何度か閉店の合図を出すも、なかなか気づいてもらえなかった。
そこで、私はある事に気付いたのです。
閉店時間はお店のルールであり、最高の防具である

その後も、度々来るその男性について、色々と悩んでる間に気付いたのは、そういう「じゃない方の人」は、閉店の合図を感じる事ができないのではなく、「時間を過ぎても追い出されてないから、まだ居ていいんだ」という解釈をしているんだと言う事に。
無礼な「じゃない方の人」と同じように、完全にNOじゃないからYESなんだって解釈ですね。
実際、私自身は買い物に行ったお店でも「蛍の光」がBGMで流れたら、焦ってすぐレジに向かってしまうくらい敏感ですが、そうじゃない人もいるんだなと。
そういう人に対しては、閉店時間きっかりに「すみません、閉店時間となりましたので、お会計をお願い致します」とごく当たり前に接客し、退店を促す事で自分とお店を守る事ができます。
また、閉店30分前はテイクアウトのみにする、営業時間を看板などの認識してもらいやすい場所に掲載しておくなど、そもそも閉店間際のイートインのお客様を作らない工夫も大事です。
店側は、お店を閉めた後も掃除や次の日の準備など、様々な業務が残っています。
閉店時間を遅めると、それだけ帰宅時間が遅くなってしまいます。
残ったスタッフにも迷惑をかけてしまう事にもなりかねません。
閉店時間という守備力MAXの盾を使って、「じゃない方の人」からの攻撃を受け流しましょう。
「お客様」と「じゃない人」を見極めて、お店と自分・スタッフを守る

今回、記事にした「じゃない方の人」を招いた原因は、全て私自身が原因でした。
NOを言えなかった自分、きちんと代金を請求しなかった自分、閉店時間を守らなかった自分が原因。
原因が分かったのなら、対策も可能です。
今は「じゃない方の人」は滅多に来なくなりました。
例え、今来たとしても装備があるので、十分に戦えるようになりました。
お店を経営するにあたっては、限られた営業時間で、限られた空間、限られた人員で利益をあげていかなければなりません。
NOを言える鋼の鎧と、代金請求の伝説の剣、閉店時間の盾で、これからのお店を守りましょう。
COFFEE BREAK

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地方在住、コーヒーショップの経営者。1983年生まれの38歳。
独身時代はフリーター、工場勤務などを点々とする。結婚を機に地元の中小企業に営業兼品質管理者として8年間勤務。その後、勤務していた会社がリーマンショックのあおりを受けて、事実上解散。夫婦で相談した結果、お互い自営業でやりたかった仕事をはじめる事を決意。紆余曲折あったが、2012年の4月に未経験ながら地元に小さなカフェを開業。その後、オープンから7年を迎えた2019年に、それまでのカフェスタイルからコーヒーと焼き菓子のテイクアウトを主体とした、コーヒーショップへ店舗を改装。現在、お店は通算10年目に突入。コロナ時代で悪戦苦闘中だけど、家族と楽しく過ごしてます。
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