2021-08-18

飲食業界未経験の私が自分のお店を持てた理由

誰にでも、「初めて」はある。

カフェの開業を考えながら、このブログを読んでくれてるあなたのお仕事って何ですか?私は自分の店を持つ前は、地元の製造工業大手の下請けの小さな企業で、営業兼品質管理の仕事に約8年間携わってました。飲食業としては、20歳の頃に、バーに数か月務めた程度で、飲食業界に携わった経験はほぼゼロに等しいレベル。そんな私がなぜ、自分の店を持てたのか、なぜ持とうと思ったのか。今日は、私の過去についても書き記していきます。

29歳、子ども3人、手取り20万円

サラリーマン時代の私は、妻と子ども3人の5人暮らし。手取りは20万円程度。ボーナスは夏と冬に1カ月分ってところ。給料は決して高くはないけれど、土日祝日休み、残業もほとんどなく、それなりにホワイトな会社。けれど、リーマンショックの煽りを受けて、会社の業績が悪化。会社自体に負債はなかったため、倒産こそしなかったが、大幅に縮小し、最後は解散状態。当時、3人目が生まれたばかりで、妻も働いておらず、生活が苦しかったので、地元の建築会社に再就職することに。社長と副社長は夫婦。社員は私を入れて4人。主に、新築に力を入れてるだけあって、モデルハウスの一角が事務所だった。通勤は車で30分程度。給料は、前職よりやや少なく、手取り18万円。それでも、当時の私にとってはありがたい待遇だった。

再就職先で見た、働くことへの価値観のずれ

住宅系で働く事への憧れもあった。甘くないとも分かっていた。けれど、家庭の事情は人それぞれあり、会社の事情もそれぞれある。それがうまくマッチしなかった。会社としては、今後の業務拡大をするために私を採用し、研修にも連れて行ってくれた。一方、私は採用面接時に「子どもが生まれたばかりで手がかかること」、「妻が10年振りの出産で体調が優れず、できる限り妻に協力してあげたい」などの事情を打ち明け、了承してもらっていた。会社にも始業30分前に行き、会社に居る間は真面目に働いた。新人と言う事もあり、業務もあまりハードなものではなかった。先輩にも事情を話したら、「特に急ぎの業務がないなら残業しなくていいよ」定時で帰れるよう、優しくしてくれた。けれど、社長達の考えは違ったようで、「なぜ先輩達が遅くまで残って仕事してるのに、新人のあなたが先に帰るのか」と言われた。

価値観は人それぞれで、社長達にとってみれば、会社に居る時間=愛社精神だと見なされてたみたい。でも、私が遅くまで残ったからと言って、先輩の役に立つワケでもなく、家庭の事情が改善されるわけでもなく、もちろん残業代なんて出るわけもない。終業後、無意味に会社に居残り、資料を読み、社長達が帰ったのを見計らって帰る日が続いた。再就職して2カ月した頃に、ふと妻が言ってくれた言葉「あなたがやりたい事をやったらいい。私達は応援するから」。色んなリスクを考えた。悩みに悩んだ末、会社を辞めて、家族で居られるように、自分で起業しようと決心した。家族で居ながら仕事ができる環境を作りたいと思った。

飲食業界未経験からのカフェ開業

開業を決めてからは、割と早かった。前職の退職金と僅かな貯金を元手に カフェを開業、何からはじめればいいの? に書いた通りの手順で最初の一歩を進んだ。飲食業は未経験だったけど、一から自分で作れることにワクワクしてた。当時の私がそうだったように、今の仕事が商社メーカーで勤めてる人、保育園や学校の先生みたいな保育教育関連、看護師や福祉の医療福祉系、どんな人でも開業はできる。でも今の世の中、未経験分野は融資が受けづらい状況ではあるのも確か。経験してる分野での開業は、言わば中高一貫校の中学時代から在籍してるようなもので、高校に上がるのがほぼエスカレーターであるように、経験分野での開業は、銀行や政策金融公庫からの融資も割と受けやすい。けれど、未経験分野での開業は、その一貫校に高校から受験して入学するようなもの。試験もそれなりにハードルが高く、事前の準備が必要。ただ、銀行や公庫からの信用を得る事ができれば、希望通りの融資が可能。ちなみに、私は銀行に300万円の融資を希望し、満額融資してもらった。

信用を得るための自己資金

世の中、結局のところはお金です。「お金を借りるために、お金を貯める。」なんとも不思議な状況です。融資元は、あなたの事を知りません。でも、お金が教えてくれるんですって。自己資金をいつから貯めていたのか、毎月いくらずつ貯めていたのか、トータルでいくらになったのか。自分で準備したお金か、家族が出してくれたお金か、はたまた借金して準備したお金か。それは、お金の流れを見ればすぐに分かるそう。月々コツコツ貯めていれば、「計画性がある」「堅実的」と思われ好印象。家族が出してくれたのなら、きちんと振込んでもらって。手渡しで受け取ったなんて事になれば、変に誤解されてしまいます。もし、融資前に「見せ金」を別の金融会社から借金して準備したのなら、開業は一旦白紙に戻した方がいいレベル。家族からの援助を手渡しでもらうと、これと勘違いされるケースもあるらしい。きちんと誰からいつ受け取ったのかが明確になるように注意しておこう。ちなみに、こうなると融資元からの印象も良くないそう。現在、自己資金0円で開業を考えてる人は、まずお金を貯めよう。「今自己資金は無いけど、融資してくれたら必ず成功する」って思ってる人は、その時点で経営者には向いてないかも。きちんと貯める力をつけて、一から計画を練っていこう。ドラクエでもFFでも、レベル1から徐々に強くなっていくわけで、貯金も開業も徐々に力をつけていけばいい。ちなみに私は、ドラクエ5とFF7が大好きだったよ。

中身のない事業計画書は白紙と同じ

事業計画書なんて、書いてある項目通りに書けばいいなんて思ってない?ネットで調べて、ちゃっちゃと書けばいいなんて思ってない?未経験からの開業者にとって、事業計画書の作成は融資元に信用してもらう大切な作業。今は知らないけど私の開業当時は、銀行でも、政策金融公庫でも「これに書いてきてください」って、渡される事業計画書はA3の紙一枚だった。え?これに書くだけ?って、拍子抜けしたっけ。実際、記入して持っていくと、担当さんに「これじゃあダメです」って、漫画家と編集さんのようなやり取りがあった。それから必死で色々考えて、調べた。そこでは、過去の職場で得たリサーチのスキルが役立った。調べた結果をまとめ、データを作り、ソースを張り付ける。それらを資料化して、事業計画書の添付資料として担当さんに渡した。気付けば、20ページの大ボリュームになってた。その計画書が突破口となり、商工会議所にお墨付きをもらい、商工会議所の信用の元、無事に銀行に信用してもらえた。過去の仕事って、無駄じゃなかったんだなって思ったよ。そして、事業計画書の中身がどれだけ大事なのかを改めて知った。未経験からの開業をしたい人は、事業計画書に全てを注ぎ込もう。それぞれの過去の仕事の経験を活かした、あなただから書ける事業計画書。大切なのは、計画の中身をどう伝えるか。あなたにもきっと、そのスキルが備わってるはず。前職がメーカーや商社勤めの人なら、データのまとめ方、プレゼン力を活かした計画書を。保育教育関連の仕事の人は、見やすさと分かりやすさを。不動産関係だった人なら、土地勘を活かした計画書を。みんな何かしらの活かせる能力があるので、あきらめずにしっかりと考え抜いて。事業計画書に正解はありません。まだ、在職中の方なら今のうちから、あなたなりの計画書を書いておくべし。

COFFEE BREAK

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COFFEE BREAK
地方在住、コーヒーショップの経営者。1983年生まれの38歳。

独身時代はフリーター、工場勤務などを点々とする。結婚を機に地元の中小企業に営業兼品質管理者として8年間勤務。その後、勤務していた会社がリーマンショックのあおりを受けて、事実上解散。夫婦で相談した結果、お互い自営業でやりたかった仕事をはじめる事を決意。紆余曲折あったが、2012年の4月に未経験ながら地元に小さなカフェを開業。その後、オープンから7年を迎えた2019年に、それまでのカフェスタイルからコーヒーと焼き菓子のテイクアウトを主体とした、コーヒーショップへ店舗を改装。現在、お店は通算10年目に突入。コロナ時代で悪戦苦闘中だけど、家族と楽しく過ごしてます。
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コメント3件

  • […] 開業に至った経緯や資金については、以前の記事「飲食業界未経験の私が自分のお店を持てた理由」に詳しく書いてるので、そっちを見てからこの記事を読むといいかもしれません。自己資金100万円、銀行からの融資で300万円でお店をスタートしました。借りたテナントの広さは10坪。大通りから一本入った、人通りの少ない路地でした。当時は、妻の仕事場も同じ店舗の一角に作ったので、カフェスペースは8坪程度。開業資金にはおよそ250万円かかって、手元の現金は残り150万円。妻の方は売上を別にしていたので、計画としては、カフェの方の3カ月程度の運転資金で考えていました。ちなみに、開業にかかった250万円の内訳はざっとこんな感じ。 […]

  • […] 飲食業界未経験の私が自分のお店を持てた理由 開業するタイミングと会社を辞めるタイミング […]

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