カフェを長く続けるのなら、メニューの数はなるべく少なめにしておいて

時代は、浅く広くよりも、深く狭くへ。
「あれも出したいし、これもあった方がいいかも。うーん、悩む。」
カフェを開業するにあたって、お店で提供するメニューの選定はとても気になるところです。
試しに数人の友達にどんなメニューがいいか聞いてみると、それぞれみんな答えはバラバラ。
結果、逆に悩みを増やしてしまうというパターンに・・・。
そりゃあそうですよ。だって、みんな違う人なんですもん。好みや価値観だって違うんだもん。
今回は、そんな開業時のメニュー選びに悩んでる方への記事です。
開業時のメニューは、フード・ドリンクともになるべく少なくしましょう。
これだけ聞くと、「メニューが少ないとお客様が来てくれるか不安」と思う方もいると思います。
ちなみに、メニューを減らすと言ってますが、メニュー数というよりはメニューのジャンル数の事だと考えてください。
例えば、フードならサンドイッチで1ジャンル。ハンバーガーで1ジャンル。ケーキで1ジャンルって感じです。
ドリンクは、コーヒー系(ラテも含む)で1ジャンル、紅茶で1ジャンル、ジュースで1ジャンル、アルコールのビールで1ジャンル、カクテルで1ジャンルって感じです。
減らした方がイイ理由は数多くありますが、私が考える主な理由は下記の通りです。
- 調達コスト
- ヒューマンエラー
- 回転率
- イメージ付け
私も以前は、お店で提供するメニューは割と多かったですが、徐々に減らして行き、最終的には焼菓子とドリンクのみになりました。
身をもって体験した理由を書いてますので、参考にしてみてください。
理由① 材料調達コスト>お客様の注文

これは、言わずもがなですが。
多くのメニューを揃えるには、多くの材料が必要となります。
相当なお客様数があれば話は別ですが、ほとんどのカフェではお客様からの注文よりも材料の調達コストの方が上回ってしまうでしょう。
つまり、赤字なワケです。
売上目標については、過去の記事でも書きましたので、そちらを見てください。
売上から利益を残すためには、なるべく材料のロス(廃棄)を避けたいわけで。
せっかく売上が月に100万円上がったとしても、ロスが20%出てしまえば、その分手元の利益は大きく減っていくことになります。
また、コストだけではなく、賞味期限や消費期限の管理を行う時間的な労力も必要となり、材料を増やすことによる仕入先の増加、取引先の管理も必要となってしまうんです。
「お店をはじめたうちは、何が売れるか分からないから、データ収集のためにも」って思ってるのなら、次の理由をご覧ください。
理由② ヒューマンエラーが増える

メニューが増えると、製造スタッフ側にもリスクが増える。
それは、メニューが増えたことによる作り間違いや、提供ミスなどのヒューマンエラーのリスクです。
メニューが多いせいで、材料を間違える、手順を間違える、スタッフの教育に余計に時間がかかってしまうこともあります。
また、厨房での使用設備が渋滞して、余計に時間がかかるなんてことも。
効率よく提供するためにも、メニュー数を絞る事はとても大切です。
オープンして数カ月間は、お客様にとってお店を品定めする期間でもあります。
「このお店は、私のお気に入りリストに入れるのかどうか。」
この期間中に、いかにミスが少ない店として認識してもらえるかどうかがポイントです。
理由③ 回転率を下げてしまう

選ぶ楽しさよりも、選ぶ苦しみなのかもしれません。
理由その1とその2はお店側にとってのデメリットを書きましたが、メニューが多いことによるデメリットはお客様にもあります。
それは、「メニューを決めることの大変さ」です。
まるで幕の内弁当のような、「おかずの種類を増やせば、かならず好きなものが1つはあるはず」という発想から、メニューの種類を増やしたり、豊富なラインナップでお客様の取りこぼしを防ぐことは、私達の役割ではありません。
多彩なメニューを揃えて、居心地のいい空間を提供するのは、ファミレスがやってくれてます。
せっかく自分の店を持つのだから、自信があるもの、自分の価値基準で「いい」と思うものを提供すればいいんです。
人は、選択肢が多いと逆に決めきれないという性質を持っています。(これを選択肢過多効果と言います。)
来店したお客様1グループにつき、選ぶ時間が1~2分増えたとして、1日あたり50グループとすると、合計で50から100分のロスタイムが生じます。
メニュー数を少なくするという事は、お客様の「選ぶ苦悩」から解放してあげることにもつながるのです。
理由④ いつまで経ってもイメージがつかない

あなたにとって、とても自身のある主力商品であっても、たくさんのメニューに埋もれてしまえば意味がありません。
また、お客様にとっては店名よりも先にイメージが定着するものです。
お客様が、新しいカフェを話題にしてるとき、「友達に聞いたんだけど、○○町に「△△△」って名前のカフェができたんだって。今度行ってみようよ。」なんて言い方はしてません。
大抵の場合はこう。
「〇〇町にバケットサンドの美味しいカフェができたらしいよ。今度行ってみようよ。」ってな感じで、名物や専門食材などのイメージで話題にしています。
メニュー数が増えれば、主力商品がお客様に認識してもらい辛く、「何推しのお店」なのかをはっきりと理解してもらえません。
メニュー数を絞ることによって、推しがはっきりとしてお客様に認知してもらえるスピードが早くなります。
また、推しを認知してもらう事で、その商品に興味のあるお客様が来店してくださる事につながるのです。
実際、私もメニューを絞る事によって売上が上がり、不安に感じていた「見込みのお客様の取りこぼしのリスク」よりも、遥かに堅実だと実感しました。
そこまで言うならメニュー絞るから、どれくらいまで減らせばいいんだ?

スタッフの人数にもよるとは思うけど、スタッフが1人から2人程度なら、フードは多くても5ジャンル以内。できれば3ジャンルくらいがベストだと感じました。
ドリンクの方は、3から4ジャンルくらいに絞りましょう。
そして、各ジャンルにてメニューバリエーションを数種類用意します。
例えば、フードなら「サンドイッチ」「ランチ」「ケーキ」と言ったジャンルで、ジャンルごとにサンドイッチなら、「たまごサンド」、「ハムチーズサンド」、「BLTサンド」、ランチは「日替わりランチプレート」、ケーキは「チーズケーキ」と「ガトーショコラ」と言った具合に、各ジャンル毎にいくつかのバリエーションを用意します。
ちなみに私の店はフードは焼菓子のみなので、1ジャンルの焼菓子が8種類あります。
またドリンクは3ジャンル。
メインのコーヒー系はコーヒーやカフェラテなど、5種類。
それぞれにアイスとホットがあるので、併せると合計10種類になります。
それ以外にも、抹茶ラテ(ホット・アイス)やソーダなど2ジャンルを準備しています。
一見すると、メニュー数が少ないですが、それでもお客様は8種類の焼菓子、13種類のドリンクメニューの中から自分の欲しいものを選ぶこととなります。
カフェというお客様に幸せな時間と商品を提供する場所が、選ぶ事・決断することを苦しめる場所となってしまっては本末転倒です。
なるべく分かりやすく、(欲しいものを)決めやすいように環境を整えてあげる事が大切です。
もし、今年新しくiPhoneを買い替えようかなと考えたときに、今年出た新しいiPhoneだって、大きさや仕様の違いで4ジャンル、更にカラー展開が4色から5色と、合計18種類。また、予算の都合上、旧機種も視野に含めると数十種類の中から自分の欲しいものを選ばないといかんのです。
スマホの機種は金額も高額なだけに、すごい労力使います。
カフェとしては、友達とコーヒー飲みながら、「今年iPhone買い替えたいんだけど、相談のってくれない?」なんて、楽しく話をしてくれる場所として使ってもらえる事が本望ですね。
さあ、あなたの事業計画にはメニューは何種類準備してましたか?
COFFEE BREAK

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地方在住、コーヒーショップの経営者。1983年生まれの38歳。
独身時代はフリーター、工場勤務などを点々とする。結婚を機に地元の中小企業に営業兼品質管理者として8年間勤務。その後、勤務していた会社がリーマンショックのあおりを受けて、事実上解散。夫婦で相談した結果、お互い自営業でやりたかった仕事をはじめる事を決意。紆余曲折あったが、2012年の4月に未経験ながら地元に小さなカフェを開業。その後、オープンから7年を迎えた2019年に、それまでのカフェスタイルからコーヒーと焼き菓子のテイクアウトを主体とした、コーヒーショップへ店舗を改装。現在、お店は通算10年目に突入。コロナ時代で悪戦苦闘中だけど、家族と楽しく過ごしてます。
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