2021-09-17

コーヒー1杯の価値を考えよう

価格ではなく、「価値」について考えてみようよ。

今やどこでも買える淹れたてコーヒー。コンビニやコーヒーチェーン、カフェや喫茶店。広い意味で言えばどれも同じコーヒーだけど、売値はそれぞれ。

一体、コーヒー1杯でいくら儲かるのか、コーヒーが価格以上にもたらしてくれるものは何か、今日はそこんトコを少し掘り下げていきたいと思います。

数字の方から言うと、カフェで飲むコーヒー1杯に占める利益は、驚くほど薄い

ただ、「価値」で考えると、私にとってはものすごく価値のある商品であり、コーヒーに携われる事はすごく楽しい。つまり、価格や利益以上に価値があるものです。

この記事を読んで、カフェをはじめてみたいと思った人は、下の記事から開業準備をはじめてみるのもいいかも。

今日の記事には、利益は私が実際にお店で出してる金額も書いてるので、これから開業する人の参考になれば嬉しいです。

そもそも利益が出ないとビジネスではない

まずは価格の話から。

前提として、どんな企業でも事業を続けていく上で必ず利益は必要なお金です。

コーヒーの原価が分かったからと言って、安直に「うわ、原価安っ!ぼろ儲けじゃん」と思うべからず。

後述しますが、材料原価以外にもたくさん費用がかかります。

粗利と営業利益の区別をしっかりと理解すると、商品の本当の価値が見えてくるんです。

まずは、粗利と営業利益を簡単に説明すると、

粗利

売価ー原価=粗利

ここでは、テイクアウトカップなども原価に含まれます。

営業利益

粗利ー必要経費=営業利益

必要経費は、人件費や固定費、水道光熱費や通信費など様々なお店を維持する上でかかる経費のこと。

これを頭に入れて考えていく。

ちなみに純利益は、営業利益から更に税金やらなんやら引いた金額なので今回はパス。

考え方は色々あるけど、「粗利が多い=ぼったくり」じゃなくて一般的には「営業利益が多い=財務が優秀な企業」って感じです。

じゃあ、原価自体はいくらなのか。

コンビニコーヒーの原価率は約半分らしい

勘のいい人なら分かると思うけど、原価率が約半分って相当高い。

コンビニのコーヒーの原価については、「お客に言えない! モノの原価マル秘事典 (お客に言えない! モノの原価マル秘事典 <青春文庫>link to amazon)」って本に載ってるので、それを参考にしました。

例えば、セブンイレブンなら、コーヒーの価格が税抜93円(税込100)。

その内、47円~50円台が原価(カップ代含む)って、かなり薄利。

これに、マシンの整備代や電気代など諸々の経費を10%として加えると、1杯あたりの利益は多くて40円程度。

セブンの1店舗あたりの1日平均売上杯数は、平均130杯程度らしいので(あくまで平均)、1日の売上は12090円(税抜き)。営業利益は多くて5200円。

恐らく、私の家の近所のセブンは1日130杯も売れてないから、もっと少ない。

コンビニのコーヒーは、企業からすればすごく利益が薄い。

でも、コーヒー買うついでにサンドイッチやおにぎり買う人も多いわけで。

言ってみれば、客寄せ商品なんです。

どれも「めちゃくちゃ美味しい!」とは言えませんが、100円で出せること自体がすげえって感じです。

スタバは価値をお客様に還元するやり方

日本において、コーヒーの認知度と価値を高めた一番の立役者と言っても過言ではないスターバックス。

スタバに行けば、必ずと言っていいほど「窓際Macbookどや」って人いるよね。

今もなお多くのファンがいて、新たな決済方法やオーダーシステムなど、日々進化してるスタバ。

友人も何人かスタバで働いてる人もいるし、私自身もスタバ大好きです。

あえて残念なところを言えば、WEBサイトの見にくさ。PCから見ると、超絶見にくい。笑

そんなスタバの原価率は、色々調べたところによると25~29%(らしい)。

ドリップコーヒーが1杯287円(税込319円)だから、原価は83円程度。

やはりコンビニよりも原価は高い。

2020年こそ、コロナでギリギリ黒字程度だったらしいですが、コロナ前の営業利益は、売上全体の9%程度。

つまり、コンビニコーヒーよりも利益が薄いんです。(スタバのコーヒーは濃いけどね)

原価が29%、利益が9%とすると、あとの62%はどこに消えたの??って感じですが、あとの62%は利用するお客様に「価値」として還元してます。

  • 店舗の立地や駐車場を含めた敷地の確保や整備。
  • 上質な内装や立地に合わせた店舗デザイン。
  • 決済方法やモバイルオーダーなど、より利便性の高いシステムの開発。
  • 新メニューの考案。
  • お客様満足度を高めるための人材育成。(←マジですごい)

など、数えればキリがありません。

macbook広げて窓際でどやれるのも、モバイルオーダーできるのも、こうやって利益よりも還元を優先し、新たな価値を創造してきたからでしょう。

やっぱりスタバはすごい。

町の小さなコーヒーショップは原価高めの品質重視

私を含め、ローカルなコーヒーショップについてはどうだろう。

手近なモデルとして、私の店の場合で考えてみます。

ちなみに、私の店ではコーヒーの豆はスペシャルティの豆を使用していて、焙煎はロースターにお願いしています。つまり、豆は仕入れている状態です。

コーヒー1杯500円(税込み550円)で提供しており、原価は140円くらいです。

私の店では、例えコストがかかっても、お客様に美味しいコーヒーを飲んでもらいたいという思いから、品質の高い豆を仕入れている事もあって、原価は高めです。ただし、その分売価が500円としているので、原価率についてはスタバと同じくらいです。

しかも、スタバと比べるとお客様の数が圧倒的に違うので、しっかりと利益を残さないと生活していけません。

コーヒーの売上杯数が1日あたり40杯として、店休日などを考えるとコーヒーだけで売上は月50万円程度です。

この内、28%が原価なので、残りの36万円から経費を出すことになります。

詳細は省きますが、経費を差し引くと手元に残る営業利益は20~25%程度といったところです。

また、コーヒーグッズの物販やフードも提供しているので、売上高はもう少しありますが、物販は仕入れ値が高く、フードも原価が高い、ロス率もドリンクに比べると高いので、店全体で考えるとドリンクが利益を取りやすくはあります。

私達カフェオーナーは、残った利益から生活をし、税金を納め、店舗を続けていかないといけないんです。

カフェを夢見てる人には申し訳ないけど、意外と夢がない数字かもしれん。笑

でも、町のコーヒーショップは、品質重視志向の人が多いように感じます。

原価やコストは違えど、カスタマーファーストな視点は同じ

コンビニ、コーヒーチェーン、ローカルコーヒーショップと3種類のコーヒービジネスについて考えたけど、どのビジネススタイルも、カスタマーファースト(お客様第一)な視点は同じなんだと思う。

どんな仕事でも、お客様がいないと成立しないし、選ぶのはお客様だから。

コンビニも、コーヒーチェーンも、私達みたいな小さなコーヒーショップも、それぞれのビジネススタイルで如何にお客様に満足してもらうかを常に考えてます。

いつも立ち寄るお店に、次に行った時にはすこしだけお店の事やコストの事を想像してみて、価値を考えてみてください。

その店には、きっとあなたが支払っている代金以上の価値があるのだと思います。

COFFEE BREAK

COFFEE BREAK
COFFEE BREAK
地方在住、コーヒーショップの経営者。1983年生まれの38歳。

独身時代はフリーター、工場勤務などを点々とする。結婚を機に地元の中小企業に営業兼品質管理者として8年間勤務。その後、勤務していた会社がリーマンショックのあおりを受けて、事実上解散。夫婦で相談した結果、お互い自営業でやりたかった仕事をはじめる事を決意。紆余曲折あったが、2012年の4月に未経験ながら地元に小さなカフェを開業。その後、オープンから7年を迎えた2019年に、それまでのカフェスタイルからコーヒーと焼き菓子のテイクアウトを主体とした、コーヒーショップへ店舗を改装。現在、お店は通算10年目に突入。コロナ時代で悪戦苦闘中だけど、家族と楽しく過ごしてます。
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